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……確か、あれは。私が年中さんの時だったかな。
「実はね。花火が綺麗に見える“特等席”見つけたんだ。
奈々にだけ内緒で教えてあげる。二人だけの秘密だよ?」
「うん、分かった~。じゃあ、お兄ちゃん。“指切りげんまん”しよ?」
「うん。」
お互いの小指を絡め合って、私とお兄ちゃんは、その秘密を口外しない約束を交わした。
……お兄ちゃんが教えてくれた、その『特等席』は、花火を一望できる穴場的な場所で。
他には誰もいない、静かな空間。
……それ以来。
私とお兄ちゃんは、その『特等席』で、仲良く二人肩を並べて毎年、花火を堪能するようになったんだ。
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