【3】夏祭り

4/6
前へ
/26ページ
次へ
*** ……確か、あれは。私が年中さんの時だったかな。 「実はね。花火が綺麗に見える“特等席”見つけたんだ。 奈々にだけ内緒で教えてあげる。二人だけの秘密だよ?」 「うん、分かった~。じゃあ、お兄ちゃん。“指切りげんまん”しよ?」 「うん。」 お互いの小指を絡め合って、私とお兄ちゃんは、その秘密を口外しない約束を交わした。 ……お兄ちゃんが教えてくれた、その『特等席』は、花火を一望できる穴場的な場所で。 他には誰もいない、静かな空間。 ……それ以来。 私とお兄ちゃんは、その『特等席』で、仲良く二人肩を並べて毎年、花火を堪能するようになったんだ。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加