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ーーーードドーン!! パラパラパラ。
目前の夜空のキャンバスいっぱいに、複数の花火が次々に上がっていく。
その美しい光景を眺めながらも、私の脳裏は別の事で埋め尽くされていた。
(“あの話”をするなら……今しかないよね。)
隣で爽やかに笑いながら、嬉しそうに花火を眺めるお兄ちゃんを見ていると。
その笑顔を曇らせたくなくて、『あの話』をする決意が、つい揺らぎそうになる。
でも……。
お兄ちゃんの為でもあるんだから、勇気を出さなくちゃ……頑張るんだ、私!!
「……お兄ちゃん。」
「ん? どうした? 変な顔して。」
「へ……変って……一応、真面目な顔のつもりなんだけど!!
……じゃなくて。その……大事な話があるの。」
意を決して、私は重たい口を開いた。
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