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その後、月日が流れるごとに、 卒業のシーズンには今まで隣り合わせで乗っていた人が 乗らなくなり、 入学シーズンでは緊張した面持ちの きちんとした制服を着用した新入生が乗り込むようになり、 ボクも中学生から高校生になり、 高校生になった頃は、3年先を歩いている兄が、 大学生になってしまったため一人で駅から乗り、 途中で乗ってくる同級生を待つようになった。 その年月の中でゆきちゃんがいつの間にかいなくなり、 その姿を数か月、探した。 とりわけかわいい子とか、そう言う事では無かったが、 ゆきちゃんはボクが知っているあの高校の生徒とは思えない 不思議な子だった。 どう不思議だったのかは、 大人になった今、うろ覚えでしか思い出せないけれど、 何となく…ゆきちゃんを見かけないな…と思ったあの日、 同時に、寂しいな…と思った事だけは、 今でも胸に残っている。
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