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「今も・・・聖尽は、春に競歩大会行われてるの?」 マイナーな話題。それもあまり良い思い出ではない話題だったため 顔が緩んだ。 「今も…もちろん続いています。 学生から不評なのも…新垣さんのいらっしゃった時と 何一つ変わってはいないと思います。」 その切り返しに 「ハッ」と短く笑い声をあげた。 「通学電車は1両目だろ」 その言葉に、同じ沿線を利用して通学していたことを知る。 「ボクは1両目と2両目の境目が好きでした。」 あの電車を利用して通学していたならわかるだろう。 「あぁ。懐かしいな。自分はあの電車の連結部分で揺られるのも好きだったよ。」 なんであんな所、 そう思いつつも、最初の頃は一時間の通学時間 何か楽しいことを見つけなければやり過ごせないのだ。 「最初の30分をやり過ごすのが、自分にとって一番難題でした。」 時間まで言えば地元はわかってしまうだろうが、 気にならなかった。
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