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その代わり、 兄の重たい通学かばんは ボクの膝の上に置く。 重たい辞書までお持ち帰りする兄は、 筋トレでもするかのような重たいカバンを 何食わぬ顔をして持っていた。 両親が同じものを家に置き、 学校用と家庭学習用とで使い分け、 荷物を減らすように提案しても、 そこは譲らなかった。 私立校だったため、 細やかなルールも有ったため、 教室に教材の置き残しはあまり許されていなかった。 明日もこの教科の授業があるし 今日は宿題が無いから置きっぱなしにして帰ろう…と言う事が 許されていなかった。 それを知るまでは、 どうして楽な方に行かないんだろうと… 兄は不思議な人だ…と思ってみていたが、 知れば、あー、こういった理由だったんだな。と考えた。
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