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「落ち込まない、落ち込まないっ! 夏月ちゃんの働き次第でちゃんと契約するからっ。注意事項はちゃんと守れる?」
「注意事項…」
1.年齢問わず(高校生不…パパパッ
2.家主のプライベートは詮索しない!
3.家主に恋愛感情を抱かない!!
「…もちろんです!」
「いい返事」
「ん」と言葉短く手が伸びてきて、夏月の頭をよしよしとなでた。
下から覗くように見上げれば、恭賀は少しだけ照れたように笑い、頭をなでる手に力がこもった。
(胸がじんじんする…)
久しぶりに人から与えられたぬくもりに、夏月はくしゃりと顔を歪めて笑った。
うっすらと目を開けると、見慣れない天井が目に入った。
「あれ…?」
しぱしぱする目で辺りを見渡すと、両手をバンザイさせながらすやすやと眠る赤ちゃんが目に止まった。
「花ちゃん…?」
そう呟くも、さらに部屋の中がしん…としただけで、何の反応も返ってこなかった。
「あ…そっか。私、住み込みでベビーシッターはじめたんだっけ…」
ふいに滲んだ涙を誤魔化そうと、のそりと寝返りを打つ。
(…。)
「…そうだ! ベビーシッター!!」
頭を殴られたような衝撃に今度こそ脳が覚醒し、絡みつく布団に足元を取られながら部屋を飛び出した。
寝癖のついた横髪をなでながらキッチンへ行くと、すでにホットコーヒーを飲んでいた恭賀にうぐっ、と顔を引きつらせた。
「…ん? あーっ! さくらんぼパジャマだっ」
「!?」
「わぁーわぁー、その大きなクッキー柄のボタンは飾り? ホンモノ?? 袖のダボダボ加減がなんともパジャマに着せられてる感満載でいいね、いいね~」
「ひぃっ」
(変態さんっ!!!?)
イジっていた携帯をズボンのポケットにねじ込み、コーヒーが波打つほどのテンションのままマグカップをテーブルに置くと、その手で夏月を手招きした。
恭賀の輝かんばかりの笑顔に、短く叫んでしまった。
(パパさんの予想外の歓迎ぶり(?)は心臓に悪いと覚えておこう…)
朝からと言わず。
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