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滲みそうになった涙を乱暴に袖で拭い、ストンっと向かいのソファーに座った。
「夏月ちゃん?」
膝で握った拳を見つめ、呼びかけに返事をしなかった。
「は…はるくんのオムツがなくなりそうなので、明日にでも買いに行きたいのですがっ」
「え…? あ、そっか。なんだかんだで夏月ちゃんには家事全般お願いしちゃってだから…」
恭賀は何かを思いついたように席を外し、「はい」と茶封筒を手渡した。
渡された封筒と恭賀を見比べる。
封筒の中には、福沢さんが 一人、二人、三人…
「足りなかったら追加するから言って」
六人、七人…
「んー。三人分の生活費ってどれくらいかかるんだろう。まっ、いいか」
(…あれ? 何人まで数えたっけ)
「って、こんな大金預かれません!」
「~♪」
(これだけの大金をポンッと他人に渡しちゃうパパさんって…いったい、何者!!?)
驚きのあまり絶句する夏月をよそに、恭賀は膝に乗せた晴樹をあやしながら優雅に携帯を操作した。
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