1.ベビーシッターはじめます!

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滲みそうになった涙を乱暴に袖で拭い、ストンっと向かいのソファーに座った。 「夏月ちゃん?」 膝で握った拳を見つめ、呼びかけに返事をしなかった。 「は…はるくんのオムツがなくなりそうなので、明日にでも買いに行きたいのですがっ」 「え…? あ、そっか。なんだかんだで夏月ちゃんには家事全般お願いしちゃってだから…」 恭賀は何かを思いついたように席を外し、「はい」と茶封筒を手渡した。 渡された封筒と恭賀を見比べる。 封筒の中には、福沢さんが 一人、二人、三人… 「足りなかったら追加するから言って」 六人、七人… 「んー。三人分の生活費ってどれくらいかかるんだろう。まっ、いいか」 (…あれ? 何人まで数えたっけ) 「って、こんな大金預かれません!」 「~♪」 (これだけの大金をポンッと他人に渡しちゃうパパさんって…いったい、何者!!?) 驚きのあまり絶句する夏月をよそに、恭賀は膝に乗せた晴樹をあやしながら優雅に携帯を操作した。
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