2.ご主人さまは何を…?

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「えぇっ!?」 (一人で盛り上がって恥ずかしい…!!) 恭賀は頬杖をついていた手から顔を上げ、頻りに目を瞬かせた。 「無礼なんかじゃないよ。うん、無礼なんかじゃないから夏月ちゃんが考えてること、俺にも教えて? 夏月ちゃんのこと、もっと知りたいんだ。…なんて、注意事項に上げてる俺が言えたことじゃないけど」 ドキッとして彼の顔を見る。 恭賀はバツが悪そうな表情を浮かべて目を伏せた。 「そっ、そんなことないです!」 「…そのケガとも関係あるんでしょ?」 「あ…」 ふと細められた瞳があまりにも優しくて、夏月は両手の至るところに巻かれた絆創膏を隠すことができなかった。 「できれば当日まで内緒にしておきたかったんですが…」 じゃーんと効果音つきで見せたのは、ティッシュボックスに被せるお手製のカバー。 「もうすぐ、はるくんの誕生日じゃないですか。はるくん、ティッシュをポイポイするのと、くまちゃんマン(アニメのキャラクター)が好きみたいなので…好きなものを合わせてみました」 即席とはいえ、自分の指まで縫ってしまうとは恥ずかしい。 「あとは縁にゴムを入れて、あ…アップリケもつけたいなぁ」 「…」 「えっと…、パパさん?」 「え? いや、あ…はるの…誕生日?」 「…! ご、ごめんなさいっ。勝手に見るつもりはなかったんですが、病院で保険証を返してもらったときに、はるくんの誕生日をたまたま…見てしまいました」 「…」 しん…、と重たい空気が立ち込める。 (まずい…注意事項が、って言われちゃう) それは不可抗力とはいえ、プライベートに立ち入ってしまったことを示す。 次に恭賀の口から発せられる言葉を待っていると、テレビから流れてきた音楽に晴樹がキャッキャと弾んだ声を上げた。 コロコロと変わる表情が、じんじんと痛むほどに力を込めていた指先から緊張を解いていく。 「やっぱり、小さくても男の子ですね。あと何年かしたら、この部屋も戦隊グッズでいっぱいになるんだろうなぁ」 きょうだいがいた頃の片付けても片付かない部屋を思い出し、クスクスと笑う。
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