2.ご主人さまは何を…?

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「…っ。でも、苗字が違う! 私には早川だって…もごもご!」 「しーっ!! だから、声が大きいっ! …正体がバレちゃったから言うけれど、実は俺…CIAから派遣された調査員なんだ」 「えっ!? Cあ…」 (って、何!?) 「っ、もごもご…」 「詳しいことは国家機密に関わることだから言えないけど、この学校がある不正に関わっている情報を得て、俺が潜入捜査してるわけ。だけど、このことが外部に漏れでもしたら俺の命どころか、関わってしまったキミの命まで危ないんだ。分かる?」 コクコク! (パパさん、すごい…! やっぱりただ者じゃなかったんだっ) 「でも…正体がバレたとなれば、やっぱりベビーシッターの件はなかったことに…」 (―――!?) 「いやいやっ、そんないきなり…私、誰にも言いません! だから…っ」 「でもね~」 顎に手をあて、首を傾げる姿に顔が凍りつく。 ベビーシッターをクビになったらバイトのかけ持ち生活に戻ってしまう。 夏月ひとりなら五畳一間の生活でも構わないが… 「他事をしていても、お風呂の水を溢れさせずに止めることができます! ビバ☆節水! です!!」 「それって長い目で見る必要があるよね。長ーい目で。つーか…ぷっ。信じるんだ。くくくっ…」 あたふたする夏月を見て腰を折り、堪えきれずに恭賀は吹き出した。 (信じ、る…?) 「!? …嘘なんですかっ。どこからどこまでが!? はるくんがパパさんの子供っていうのも…?」 「ごめん、ごめん。はるは正真正銘、俺の子。早川は母方の姓。あ、言っとくけど離婚してるわけじゃないから。まぁ…ある意味、離婚してくれたほうがありがたいんだけど。あのマンションが母方の名義になってるから、苗字が違うと根掘り葉掘り聞かれていちいち答えんの面倒でしょう? だから、学校以外では早川で名乗ってんの」 「どうして…そんな、騙す真似…」 なぜか、声が震えた。 部屋数も多く、広く、素人目にも高級だと分かるマンションに赤ちゃんである晴樹と高校生の恭賀が二人暮らし…
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