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静かになった彼は、友人にだけ聞こえるような声で言う。
「間違いないな。あと成績不振で監督を辞めさせられるってのもあるんじゃないか?
憂さ晴らしとしか思えないな」
彼の言ったそれは事実だった。
シーズンを四位で終わることが決まってしまったライガースは、新たな監督を迎える事を決めていたのである。
ライガースの監督は二年間チームを率いたが、Aクラスに導く事は出来なかった。
ファンも一年目は応援していたのだが、二年連続Bクラスともなると流石に批判の声を上げ始めたのだ。
「奴ならありえるな。監督辞任はほんとこっちからすればざまぁみやがれだよ。いつも無表情で、周りの全てを見下している癖に成績を残せないあいつにはウンザリだったからな」
この二人も批判の声を上げていたファンの一部であった。
さらに二人の愚痴はヒートアップしそうなところで悲鳴が上がり、二人もグランドに目を向ける。
ラビッツの四番打者による打球が高く上がっていた。
決まったんじゃないか?
と二人はサヨナラの危機に頭を抱える。
ポール際スレスレ。
飛距離は十分だった。
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