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彼は立ち止まり何度も左右上下に首を動かしこの温室を見た。
きっと、この場所に来るのは初めてで屋上が温室になっていることも知らなかったのだろう。
でも、なぜ彼は教室から離れた人気の少ない棟の屋上に来たのだろう?
興味本位か?
彼にとってそれはないだろうとする。
何なんだろうか……
すると、彼こと久我くんが1歩前に進んだ。
そして、ある花を見つけてまっすぐとそこへ向かって歩き出した。
幸運な事にその花はわたしとは対角線上にあるので久我くんに見つかる心配はないと安心した。
花にたどり着いた久我くんは立て膝で花の前にしゃがみこみしなやかな腕を伸ばし綺麗な白い手でその白く下へたれている花を優しくなでた。
その姿はまるで、童話や映画のようなワンシーンでわたしは彼に魅了された。
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