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この華やかなユリで埋め尽くされているこの温室の中で静かに小さいながらもその存在を主張する花……
誰をも魅了するであろう久我くんをも魅了し惹きつけてしまう。
ふたりと数え切れないほどのユリの花があるこの温室は静けさが漂っている。
「はぁー。マジで疲れた……しっかし、この学園にこんな場所があったんだ。ふーん。」
えっ……
なんですか……
ふーんって。
含み笑いをした久我君はその小さな白い可憐なナルコユリを指先で撫でた。
その姿を見た人はきっと平成の光源氏というのかもしれない。
はかなげでいて、品があり、どことなく不気味な美しさを持つその姿に……
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