SCENE 3
1/2

SCENE 3

 ……いったい、どれだけの時間が過ぎたのだろう。  いつの間にか、遠流はアーケード街を抜けていた。  このまま人気のない場所へ行きたいところだが、残念ながらそんな余裕はない。  もう一度ウィザードを捜すべく、アーケード街へ戻ろうと踵を返す。  すると小柄な少女が見つめてきていることに気が付いた。  ほっそりとした体。広いおでこを隠すように垂れた前髪。大きな瞳と、対照的に小さな鼻。厚い唇。マニッシュ系の服装がとてもよく似合っている。  俺の匂いにつられてやって来たのか?  最初はそう思った。しかし彼女の瞳は潤んでいない。  匂いにつられてやって来たのなら、脳内物質の影響で興奮し、瞳に涙が溜まっているはずだ。  夜風と共に一瞬の静寂が訪れる。  そんな空間に、少女の見た目にそぐわないハスキーな声が響いた。 「貴様、人間じゃないだろ?」 「――は?」  唐突な指摘に、遠流は思わず表情を固まらせてしまった。 「俺が……、人間じゃない?」  確かにその通りだ。  だが、素肌を完全に隠している見た目からではわからないはずだ。  ここは誤魔化すべきだろう。 「お前、ひょっとして何かヤバイ薬でもやってるのか?  それとも重い中二病なのか?  人のことを、いきなり《人間》じゃないだなんて、頭、大丈夫か?」  遠流は鼻で笑う。  すると少女も苦笑を返してきた。 「惚けるのは自由だ。  しかし答えは変わらない。  貴様はバケモノだ。  だから、殺す!」  突然、少女がもの凄いスピードで間合いを詰めてきた。さらには腰からナイフを取り出し、横に一閃させた。  明らかに殺意が籠もっている一撃に、遠流は慌てて後ろへ動く。  直撃こそ避けたものの、着ていたパーカーには深い傷が刻まれてしまった。  少女は口角を上げていた。笑顔ではない。  鋭い瞳からは、狂気染みた感情が滲み出している。 「貴様は、本当に自分を人間だと思っているのか?」  そんな少女の問いかけに、 「当然だ」  遠流は即答する。 「じゃあ、衣服の隙間から覗いているその肉体は何だ?」