II. 夜

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「…藤原さん」 あぁ、ついに水沢に呼ばれた気までしてきた。 「藤原~さん~」 ドンと俺の椅子…いや、俺に衝撃が。 「あ、まじで呼んでた?」 俺が振り返ると、水沢は疲れた顔で1回頷いた。 「藤原さん部活何にするのかなって」 「あっ、部活、部活…か。決めてねぇ」 「…じゃあ、藤原さん何好きなの」 「俺?俺は…ギターやってる」 「ギター…やってるの。ベースは?」 「え、何、水沢ってバンド系興味あんの?」 水沢は、また窓の外を見つめた。 「…ドラムやってる」 「…ま、じ、で…?」 何と言うことだ。 お前はどこまで俺をワクワクさせるんだ。 「僕藤原さんの入る部活入ろっかな」 「え、えぇ!?何それ俺が選ぶってことかよ!」 「なんか、そうしたら僕、後悔しなさそうだから」 「な、なんだよそれ…。じゃあやっぱり…軽音部とかか??」 「…なんか違う」 「なんだよ。……軽音部じゃなかったら、吹奏楽部でパーカッションやるとかしかなくね?」 「あ、確かにそうだね~。じゃあ吹奏楽部。」 な、そんなすぐ決まるのか? 「…あ、なに、俺も吹奏楽部入んの?」 水沢は眠そうに1回頷いた。 「…あ、そう。」 「「……………」」 「おかしくね?」 俺は疑問をそのままぶつけた。 「?そう?」 なんなんだこの水沢というやつは。"きょとん"と効果音が俺の頭の中で再生するような顔をした。 「そう?って…。でも、まぁいいか、吹奏楽部で。」 「うん。」 満足そうな水沢の顔を見て、最近水沢の表情が豊かになってきた気がしてきた。
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