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「…藤原さん」
あぁ、ついに水沢に呼ばれた気までしてきた。
「藤原~さん~」
ドンと俺の椅子…いや、俺に衝撃が。
「あ、まじで呼んでた?」
俺が振り返ると、水沢は疲れた顔で1回頷いた。
「藤原さん部活何にするのかなって」
「あっ、部活、部活…か。決めてねぇ」
「…じゃあ、藤原さん何好きなの」
「俺?俺は…ギターやってる」
「ギター…やってるの。ベースは?」
「え、何、水沢ってバンド系興味あんの?」
水沢は、また窓の外を見つめた。
「…ドラムやってる」
「…ま、じ、で…?」
何と言うことだ。
お前はどこまで俺をワクワクさせるんだ。
「僕藤原さんの入る部活入ろっかな」
「え、えぇ!?何それ俺が選ぶってことかよ!」
「なんか、そうしたら僕、後悔しなさそうだから」
「な、なんだよそれ…。じゃあやっぱり…軽音部とかか??」
「…なんか違う」
「なんだよ。……軽音部じゃなかったら、吹奏楽部でパーカッションやるとかしかなくね?」
「あ、確かにそうだね~。じゃあ吹奏楽部。」
な、そんなすぐ決まるのか?
「…あ、なに、俺も吹奏楽部入んの?」
水沢は眠そうに1回頷いた。
「…あ、そう。」
「「……………」」
「おかしくね?」
俺は疑問をそのままぶつけた。
「?そう?」
なんなんだこの水沢というやつは。"きょとん"と効果音が俺の頭の中で再生するような顔をした。
「そう?って…。でも、まぁいいか、吹奏楽部で。」
「うん。」
満足そうな水沢の顔を見て、最近水沢の表情が豊かになってきた気がしてきた。
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