9人が本棚に入れています
本棚に追加
音楽準備室に連れて行かれると、机と椅子があった。
先輩に促されて座った。
「まず、二人は経験者?吹奏楽部は女子ばっかりだけど、やっていける?イケメンくんだから、もし女子に囲まれようと、とか目的だったらいらないし帰って」
急にあれこれ話しだした先輩に、二人で呆気にとられる。
しかも、言い方がきつい。
「ちょっと、副部長!男子部員貴重なんじゃ…」
この人は副部長、なのか。
「邪魔になるならいらないよ」
副部長の迫力に、話しかけた部員が、引き下がる。
気まずい空気が流れる。
「あの…大丈夫ですー。僕はドラムが大好きで来ただけです。女子は…逆にちょっと苦手ですが…」
さすが水沢、空気なんて関係なく行動できるなんて羨ましいぞ!
しかも恨まれることもなく、だ。
そして、俺もいま話すべきだと察知した。
「俺も、水沢と似たような感じで…、パーカッションやりたくてきました。女子はきっと水沢に行くので俺は関係ないですし。」
沈黙が続く副部長さん。
「…ならいいよ。むしろ歓迎。入部届け、もらうよ。」
「「あ、ありがとうございます!」」
「ねーきいてきいて!イケメン二人入部だって!!」
「え、マジ!?」
遠くで部員が騒いでいた。
「…ごめんね、うるさくて。」
怖そうな副部長が謝ったことに二人で驚く。
「じゃあ、うちの部の説明するね。まず私は、ここの副部長やってます。トランペットの桜井です。よろしく。」
急に、桜井先輩の雰囲気が穏やかになった。
「よ、よろしくおねがいします」
「…おねがいします」
「そして、ここが問題。部員、何人か知ってる?」
「え…普通は50にんくらい…ですか?」
「50人か…そこそこ強いところだったら100人超えてたりもするんだよ。」
「え、そんなにですか!?」
「うん。まぁ、うちは超過疎部。コンクールは毎回小編成で、結果は銅賞。顧問の先生が、音楽と無縁だったような人だからっていうのもあるけど…。まず、やる気がない。でもね!今年は強豪からきた先生だから、どうにか変わるかもしれない。ハードになっても、ついていける?それも重要。」
俺と水沢はお互い一瞬顔を見合って、すぐ先輩に向かった。
「「大丈夫です」」
「…そっか。頼もしいよ。あ、部員はこの紙に書いてあるから。」
最初のコメントを投稿しよう!