9人が本棚に入れています
本棚に追加
「ん…と?おれは別に前と違ってもいいんだけど…」
そうだよ。
別に前と違うからって何って感じかもしれないけど。
今の曲は、あのとき聴いた曲、"星が降る夜"をアレンジしたっていうのかよ。
今の聴いたら、きっと誰だって完璧だと感じるはずだ。
でも星が降る夜なんて曲は、ネット上になかった。
じゃあ、その曲はなんなんだ?
そのときそのときで違うものになる、"星が降る夜"ってなんなんだよ。
なんであんなに…不安、そうだった……?
水沢は、顔を上げると、ふわっと笑った。
「…あはは、ごめん、言ってなかった」
「「?」」
「"星が降る夜"なんて曲は、ないんだ」
「「は?」」
ちょいまて。
「正確に言うと…。僕の曲」
ちょいま…ちょい…ちょ…ち…。
「「まじで!?」」
「うん」
水沢は、言ってしまえばけろっとして、ポロポロと音を鳴らしながら頷く。
「なんで…黙ってたのかな?」
先輩も、突っ込まずにはいられないみたいだ。
「あ、いや…なんか…恥ずかしいじゃないですか」
「恥ずかしい曲じゃねーけどな」
「え…!」
水沢は驚く。
「うん、おれ感動したよ!」
「…あ、ありがとう…ございます」
水沢の顔が、少し赤くなる。
「じゃあ、とりあえずまた話に戻ろうか!」
「「えっ」」
「ほらほら、早く~」
てか先輩座るの早っ。
ピアノを片付けて、俺と水沢もまた元のイスに座る。
「よかった…水沢くんが弾いたピアノ…。まだ余韻が…」
「……」
水沢は恥ずかしそうにペコっとした。
「武田ーー!!もう終わり!!」
突然、どこからか部活終了を伝えられた。
最初のコメントを投稿しよう!