II. 夜

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「おーい2人とも~!水沢くん藤原くん!窓閉め行くよ!」 ぶんぶんと手を振る武田先輩が人混みの中見えた。 「「…!?」」 とにかく先輩のいる入口に行く。 先輩はなんだか嬉しそうだ。 「吹奏楽部って、パート練習するときにたくさん教室使うだろ?だから、戸締まりも徹底的にするために、曜日で分担してるんだ。だから今日みたいに木曜日はパーカがそれをする!わかった?」 窓を見ながら、歩きながら説明をしてくれる。 「あ、はい!」 水沢は、黙ったままペコっとした。 「あ!水沢くんと藤原くん!忘れるところだった…危ない危ない」 武田先輩がカバンの中をゴソゴソとあさる。 「「?」」 「これ!クラスの女子に渡してって言われたんだ!」 俺達の手に渡されたのは、また手紙だった。 水沢の量の多さに、水沢もひいていた。 「いやぁーすごいね2人とも!おれ、2人見てたらやる気出てくるよ!」 な、なんでだ!? 水沢をちらっと見てみると、大量の手紙を見て、何かつぶやいた。 「水沢?」 「…?あ、なんでもない」 「?言えよ」 「いや…何のために…こんな手紙書いてくれるんだろうって」 「「…………」」 確かに、そうだよな。 そんな大量にもらっても、わけわかんねーな。 「僕が知らない人なんて…僕のこと本当に知らないし…。きっと本当に好きってわけじゃないんだろうから」 「そうだよね…おれからしたら羨ましく思ったりするけど、好きって気持ちって、そんな簡単じゃないよね」 「「「……………」」」
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