II. 夜

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「先輩。なんか…かっこいいですね」 「えっ!?いやいや!そんな…語っちゃって恥ずかしいね」 武田先輩のバックはキラキラと夜景が広がっていた。 俺の視線を追って、武田先輩も窓の外を見た。 「わ…わぁ…やっぱりここ丘の上だから星すごいきれいだね…!」 「そうですね…」 「な、なんか2人、静かだね!」 あははっと笑う武田先輩の笑顔は、水沢にも移っていた。 「あ、水沢くんが笑うとなんか嬉しいね!おれがもっと水沢くんを笑顔にしてあげるよ!」 え、がおに…? 「そ、そっすね…」 「ちょっとそこ!藤原くんひかないで!冗談だから!」 「はは!大丈夫です、ひいてないですよ」 「…藤原さんって、ひいてたら何も言わなそう」 よくわかってんな水沢。 「あ、おれ家こっちだから、また明日!」 「あ、そうなんですか、さよなら!」 「さよなら…」 ふふん、とちっちゃーい先輩が笑った。 「明日からおれ、2人のことニックネームで呼ぶから!」 そう大声で言い残して走っていった。 「「え」」 まじですか。 あの先輩が考えるニックネームって…どうなるんだろう。 先輩が見えなくなって、バス停まで2人で歩く。 「「……………」」 こうしてると、改めて実感する。 こいつ何も話さねーな。 「水沢ってさ」 水沢がこっちを見る。 「…?」 「柊夜だよな」 「…うん?」 「………」 「藤原だよな」 「…そうだけど!?いやそこは違えだろ!」 「あ、そっか。じゃあ…朝日だね。」 「…………」 「ぷはっ。よろしく、朝日」 「なに笑ってんだ」 「あはは。朝日も笑ってるし」
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