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「優音~!も~何やってんの!かわいいなぁ!」
また村本の声が響いてくる。
「ねぇ、ちょっと里佳うるさいよ!」
次は抑えめの新井の声。
「あっはー、"はい、ねー。すいません、でしたね。"」
「ね、やめて、そんなそっくりな世界史の金田先生の真似しないでいいから!」
「あははは!私は神ですから」
「…はいはい。神ですね」
2人の会話はテンポ良く進む。
そしてその間には川上優音がきょとんとした顔で黙っている。
「柊夜」
柊夜が珍しくずっと女子の方をみているから、俺は軽く肩を叩いた。
「…………」
……また無反応かよ!
「柊夜?おい、柊…」
柊夜は、ほんの少し頬が赤かった。
「あ、な、なに…?」
……いや…。
「………何、柊夜、変」
「え…」
そうだ、変なんだ。
柊夜はいつも女子を苦手とか言って、見ることもしない。
そんなやつが吹奏楽部に行くことも。
そんなやつが女子を見ることも。
そんなやつが女子の話をすることも。
全部、おかしいんだ。
"朝日…川上さんの声聞いたことある?"
ふと、さっきの柊夜の言葉が蘇る。
川上さん…?
川上優音…?
芸能人でもおかしくないくらい可愛いけど、決して目立たない彼女。
そんな彼女は、この柊夜を惹き付けるほどの何かを持っているのか?
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