II. 夜

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ー それからの吹奏楽部の日々は、新しい体験ばかりだった。 正式に入部届けを出して、結局、俺達2人以外の同学年は女子だけ。 新しく来た顧問の佐藤先生はやる気がありすぎて、ついていけない人も無理矢理吹奏楽部に留めている。 仮病で休む人もいる中、合奏のときに、佐藤先生はコンクールの楽譜を持ってきた。 そもそも初心者もいるわけで、何度やっても合奏は全然上手くいかなかった。 でも、少しずつ少しずつ出来るようになってきて、厳しくなった佐藤先生にまた嫌になる人も多くなった。 そういう部員には、佐藤先生が自ら個人面談をしたりして、どうにか説得しようとした。 それでも結局、数人は戻ってきて、数人は欠けたまま、コンクールに出場した。 大編成の部に比べるとレベルが低い小編成の部。 結果はこの高校だけが銅賞だった。 つまり、県内でも最下位。 毎年、3年生はこの夏のコンクールが区切りとなって、受験モードへと切り替える。 先に進めないなら、夏休みで引退。 今年の3年生も、この夏で部活は引退になった。 部長は、副部長だった桜井先輩に変わった。
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