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正直、嫌だ。
川上さんが宮田と話すとか。
いや、川上さんは話さないと思うけど…。
違う、話さないだろうから危ないんだ。
あいつが何するかはわかんない。
無理やり何か言わせようとするかもしれない。
あーー…やっぱりだめだ。
川上さんはどうしても守らないと…。
「水沢?何暗い顔してんの」
「新井」
柊夜は、たまたますれ違った新井に名前を呼ばれて我に返る。
「…川上さんが」
「何!?何、優音が何かあったの!?」
「あ、いや…」
新井の必死な顔。
「はやく!教えて!」
「クラスの宮田っていうやつが…川上さんに話したいことがあるみたいで…」
「なにそれ!危険!どんな人なの!?」
柊夜は、少し宮田が哀れに感じた。
「えと…髪が短くていつもうるさくて笑ってて…」
「わかった、水沢ナイス」
「いや…」
新井はすごく険しい顔で走って行った。
「おい」
突然背後から聞こえた声に慌てて振り返る。
「よぅ、何話してたんだよ、新井と」
「朝日…」
朝日はいたずらっぽい笑みを浮かべた。
「何か知らねーけど、柊夜でも女子と話すんだな…」
「いや…」
女子と話さない僕が、新井とは話す。
そんなふうに朝日に思われたのか、と思って、なぜかもやっとした。
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