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昼休み。
柊夜はいつものように屋上へ向かった。
扉をそっと開くと、ぬるい風が涼しい風のように吹き込む。
柊夜はいつものように、フェンスにもたれかかる。
いつものように、人3人分以上離れたところには、川上さんがいる。
いつものように、気まずい空気の中で、目が合うと会釈をする。
静寂に包まれて、どちらかがそれを破る。
「…夏休みでも、文化祭の準備とか…部活があるから毎日会うね」
川上さんはさっき、きっと泣いていた。
「は、はい…」
声も少し震えている。
「…次は…何があったの?」
「いえ…」
「じゃあ、こっち見て笑える?」
「………わ…笑えないですっ…!」
川上さんの目は、涙が溢れていた。
初めて会ったときの涙は、何だったのか未だに知らない。
でも、最近は毎日川上さんと話して、人間関係に悩んでいることがわかった。
「…僕に話してみて?」
「…でも…迷惑かけたら…」
「うれしいよ。何でも話してくれたら」
「…水沢くん…」
川上さんは、涙を零しながら、必死に言葉をまとめるように俯いた。
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