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「あー、よかったー。理さんが怒ってたらどうしようかと思った~」腕に柔らかな感触が押し付けられた。
「俺があんなことで怒るわけないだろう」
「くっ! 裏切り者め! 復讐してやろうと言い出したのは伊藤くんなのに……!」
「……復讐?」
かのこちゃんの冷め切った視線がめぐるを串刺しにする。
「先生のために二人が計画してくれた事だと思えば、怒るに怒れねえよな」
しばらくうな垂れていためぐるは、諦めたように「はい」と呟いた。
「じゃあ、先生はこれから執筆だから、またな」
女子二人を追い払って、俺は書斎の扉をバタンと閉めた。
「悪いな、先生」一応謝ってはみる。
「どうせ私は格好良くもないし、ひじきだし、いいんだいいんだ……」
振り返ると、めぐるは畳の上にのの字を書いている。
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