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──吉良科華夜
聞き覚えがある。
なに、現実では無いけれど。
彼の作品、【君を知らない幸せ】
その本のヒロインだったはずだ。
──華夜、君を知らなくて良かった…
有名な台詞だ。
僕もこの台詞は好きだ。
そしてこの話はとても切ない。
現実では、有り得て欲しくはないな…
でも、まぁ…
『とりあえず急ごうか』
僕は不意にそう言った。
彼女は最初首を傾げたが僕が時計を見せると顔を青ざめた。
僕は彼女の細い腕をとる。
『行くよ、華夜…』
彼女は驚いているが僕は気にしない。
寧ろ笑っていたぐらいだ…
───その頃の那智
(何があったんだ?)
この学年1の金持ちお嬢様と(多分)この学年で一番容姿が良いであろう俺の親友が手を取り合って走って行く。
どういう関係で?
てか、羨ましすぎる…
親友は朝の登校の時から先輩や同じ学年の女子に目を付けられていた。
(俺を、置いて何処に行きやがった!)
ぐぬぬぬぬ、と、訳のわからない奇声を発して「はぁ…」とため息をついた。
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