花と再会

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家を出て真っ直ぐ進んだところを右へ そのまま道なりに歩いて行く。 この道を通るのは2回目だ。 (あぁ、やけにうるさい…) 何があるのか分からないが 僕は不愉快だったのでヘッドフォンをした。 まぁそれが間違いだったらしい。 ばっしぃぃーん! 子気味いい音が響く。 『ヴっっ!ごほっごほっ』 元来打たれづよくない僕は勢いよく咳き込む。 背中が痛い… 『なんだよ、《那智》』 《紅宮 那智》 《あかみや なち》 僕が唯一心を許せる相手だ まぁでも許せる事と許せない事は勿論ある訳で、 『僕なんかした?』 不機嫌全開で言い放った。 「いんや?ただ入学初日でもう先輩に気に入られてるのが気に入らないだけ。」 ただ、の理由が不毛。 『ふざけんな』 1発殴ってまた歩きだした。 … …… ……… 門をくぐったところで ふと、懐かしい匂いがした。 (あぁ、これはあの冬の) と思った瞬間、はっとした。 いるのではないかと あの本を僕に《預けた》《彼女》が、この学校に… ………いた。 風に靡いた長い髪が彼女の肩を滑って後ろへ流れる。 一通りの動作に見とれる男いや、女も沢山いるだろう。 (僕はそんな事にならないけどね) スッと前に出た。 鞄から本を取り出して渡そうとした。 が、彼女はあろう事か僕の腕を掴んで引っ張ってきた。 『え、ちょっと?』 ぐいぐい引っ張っられて着いた先は 人気のない校舎裏だ。 僕は問いかける。 『本、でしょ?』 彼女は、口を引き結んで頷く。 「あ、あのありがとうございました。」 そうだ。 聞きたいことがあったんだった。 『…ねぇ』 「は、はい」 僕がずっと気になっていた質問を彼女に聞かなければ。 『ねぇ、なんで僕だったの?』
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