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夏休み
夏休みの始まる前に、予備校の夏期講習の申し込みがあり、自分の申し込みをしたい講座のある教室へ行って申し込みをするという日があった。
咲は英語、国語、世界史と申し込みをするために、教室を回った。
そして、世界史の部屋に行くと、亮がいた。
「亮くん、これ、申し込みするの?とれた?」
「私も同じの申し込みするの。これ、一緒に受けられるね」
世界史で人気のある講師の講座を亮が記入し終わった申込書を手続きをしているところだった。
咲は亮の隣に並んで新しい申込書を手に取った。
夏休みに亮に会える、と思うとなんだか気持ちが弾んだ。
咲も、亮と同じように亮と同じ講座を手続きすることができた。
「今日はもう帰る?」亮が咲に向かって話した。
「あ、うん」
「じゃ、帰ろう、一緒に」
咲はまた嬉しくなった。
校舎を二人で出ると、駅の方へ歩き出した。
いつもは友人達数人で帰るので、ふたりきりというのが咲には嬉しかった。
亮は咲の顔を覗き込みながら尋ねた。
「他の科目は申し込んだ?他は違う日かな」
「私、私立第一志望だったけど、私も国立受けようかなと思って。他の科目も申し込んでるけど、亮君とは違うかも。でも世界史楽しみ」
咲は本当に楽しみになった。
駅に着くと、ちょうど電車が来たのでふたりで乗り込んだ。
新宿に着くと、亮は降りて行った。
一学期の授業は終わってしまったけれど、夏期
講習が始まれば世界史の授業で1週間毎日、亮に必ず会えるということを心に思い描くだけで咲の気持ちをとても明るいものにしていた。
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