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俺が、運んでしまった。
船木もそうだが、残りの二人も、食べている最中も端末を離さない。
「船生さん、忙しそうですね」
「そうなんだよね。この葬祭の販売ね、意外にうけてしまって。でも、細かい注文が多くてさ」
バスで送迎して欲しい、駅前がいい。家族葬だけど、死体を見たくない。色々な注文に答えていると、時間と手間がかかるらしい。
「この三人でチームなんだけど、あれこれあって、中々互いに分からない」
食事中も、目の前にいる人にも、メールで報告していた。これでは、なかなか息が合わないであろう。
「コーヒーはホットですね」
喫茶店鮫島は、ランチにコーヒーは付かないが、味噌汁が品切れになってしまい、代わりに出した。
「船生さん、俺、死んだ人の事、本当は何も知らないってことが多いのですよ。それで、最後に、出来れば生前に、その人の人生をまとめて欲しいですよ。で、生前に確認しておきたい」
「知られたくないことも、あれこれあるよね」
そうなのかもしれないが、例えば、知らない兄弟がいたら、知っておきたい。
「まあ、そういうサービスも加えておきましょうかね」
船生の連れてきた二人は、こちらの会話には全く興味を持っていなかった。そこで、俺は安心してしまったのか、オカルトの部分を抜かして、綾瀬が回収屋に行ってしまったことを告げた。
親友と思っていた人が、自分と反対勢力に行ってしまう。どう、考えていいのか、俺には分からない部分も多い。
「綾瀬君の件に、回答はないけどさ。神代のしいたけは、有名ね。俺が扱ってもいいかな?」
船生は、本当に、回答はしてくれないらしい。船生らしいが、話は親身に聞いてくれていた。
「それは、神代さんに聞いてください」
船生は頷くと、メモをしていた。神代のしいたけは、いつも完全予約で売り切ってしまうらしい。
でも、俺には土産で持たせていた。人さえいれば、多く販売できる余力はあった。
「綾瀬君のことは残念だけど、気持ちはわかるよ。生葬社には丼池君もいて、綾瀬君の居場所はなかった」
居場所がなかった。その気持ちは、俺がよく知っているはずなのに、気付いていなかった。
「遊部君、神代さんは完全紹介制でね、紹介して欲しいけど、手土産とか決まりがあるのかな」
手土産には、異物(インプラント)であろう。それも、普通のではダメだ。
「手土産に決まりはありますが、普通では入手できません」
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