『森啼いて鳥死する時』

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 儀場の眉が僅かに動く。儀場は、回収屋を嫌っている。無理矢理、異物(インプラント)を回収されてしまった人間は、その後、廃人になってしまう可能性が高い。儀場は、そんな強制回収を行う、回収屋を嫌っている。 「自称神は、神代(かみしろ)だろう。回収屋か……」  でも、苦笑いする百舌鳥は、神代は回収屋でも変わっていると説明してくれた。まず、神代は自分から異物(インプラント)を集める事はしていない。支払いに異物(インプラント)を要求するだけなのだそうだ。その理由は、異物(インプラント)の情報で、神代は何かを探しているらしい。 「まあ、ここにある異物(インプラント)を皆持って行っていいよ。あちらの気に入ったものがあれば、それで交渉してみてね。こっちは、公園で子供が安心して遊べるようになればいいだけだから」  新人には何でも体験だと、百舌鳥はスパルタで俺を外に出す。 「はい、行ってきます」  当然のように、昂が俺の横にいた。 「儀場さん、どうして、ここに居るのでしょうかね」  それは、近所の葬儀屋の息子、鹿敷(かしき)と待ち合わせであろう。儀場と鹿敷は、一緒に住んでいるというのに、生葬社で待ち合わせをしたりするのだ。 「待ち合わせでしょ」 「そうか、鹿敷さん、まだ定着していないから」  鹿敷は、死ぬ度に生きた体に移り、生を継続している。しかし、身体を乗り換えたばかりだと、不安定になり、自我を崩壊しかねない。それを、抑えているのは、儀場の存在であった。 「夜は、ダブルベッドでいいことして、昼休みはホテルでエッチ三昧ですか」  そうやって、肉体と心を繋いでいるのだから、仕方がない。 「昂、まあ、さっさと行くか」  車に乗り込むと、神代の家に向かってみた。 第二章 森の鼓動と土の息  神代の家は、周辺一帯を買い込み、森を維持管理する団体の中に在った。  森を守る会、土地を買い込み活動しているので、所有者の権利で森にしておけばいい。そこに問題はない。  神代は、その大半の土地の所有者で、中できのこの栽培をしていた。回収屋では、副業を持つ者も多いが、森林の保護と、回収屋というのはどうにもしっくりこなかった。  回収屋は、金目当てで、一攫千金を狙うイメージが強いせいだ。 「すいません、予約した遊部です」
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