第四章 夜啼く鳥が闇夜で見たもの

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 俺は、そっと胃を持ち上げると、鞍馬の大きな切り口の中に納めてみた。  鞍馬の中は、内臓が適当に詰められていた。 「もう少し、丁寧に収納しましょう」  適当に詰めているので、落ちてくるのではないのか。 「肺でしょ、胃でしょ。肝臓……」  人体模型を思い出す。 だいたいの位置は覚えていたが、動いている心臓を見るのは初めてであった。  この筋肉の塊である心臓は、力強く、見ていると安心する。 「出ないように、ガムテープで止めておきましょうか?」 「いや、それは止めてください」  宇宙船もガムテープで補修できる世界なのだ、ガムテープを侮ってはいけない。
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