第一章 黒い影が遊ぶ公園

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 昂を見ていた俺の隣に、 ベンチに座るように揺れる小さな足が見えた。  ベンチの周囲には、くろいモヤモヤが渦を巻き漂っていた。 それは、小さな意志を持ち、帰りたいと呟いていた。 『待っているの。 ここで、お母さんとお父さんが待っていなさいねと言ったの』   アケミであるのか。言葉から、世界が見えていた。  警報の中、アケミは学校の便所に入った。 待っていようとした、母親は腕にアケミの弟を抱え、 背にアケミの妹を背負っていた。
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