第一章 黒い影が遊ぶ公園

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「アケミ、先に行っているから。必ず来なさい」  母親が、アケミを残して去ってゆく。 しかし、入ろうとした防空壕は空襲で無くなっていた。  アケミは、どこに行ったらいいのか分からない。  必ず来なさいと言われたのに、行けなかった後悔の思いが、 ここで待つと変わってしまったらしい。 「……待っていなさいではないよね?来なさいであったでしょう」  アケミは生きて、家族を持ち、そして老いていった。 ここで、亡くなった子供ではなかったが、ここで家族を失ってしまった子供であった。 「行ってもいいの?」  今度は、耳で聞こえた。
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