第一章 黒い影が遊ぶ公園

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「お母さんのところに、行ってもいいよ」  アケミの笑顔が、光になった。 黒いモヤモヤも、光についていって欲しい。  この言葉から世界を見る能力も、当たり前のように俺にあった。  楽しそうに鉄棒をする昂を見ながら、又、隣を見ると、学生服の足があった。  やはり、綾瀬は成仏できていないのか。 そもそも、成仏という概念が俺には分からないが、 肉体を失っても、消えられない人は存在していた。  綾瀬の手が、紙をくれと催促してくる。 俺が、内ポケットから紙を出すと、文字が浮かんでいた。 『終わっていないよ』  どういう意味であるのだ。 横を見たが、誰もいなかった。
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