第一章 黒い影が遊ぶ公園

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「ちゃんとした日本語を使用しましょう。幼児語はやめてください」  ふんと、遥香に横を向かれてしまった。  店長の、百舌鳥 人類(もず ひとる)は、遥香の親から事情を聞いていた。  生葬社の本来の由来は、生きている事を葬り死とするというもので、 不可解な事件があるとどこからか仕事が回されてくる。 生葬社という名前になったのは最近らしいが、その存在は、かなり昔からあった。 会社には、五百年は生きているともいわれる、生き字引の水早(みずはや)もいた。 この水早、弁当の時間にしか、姿は見えない。  その水早が、珍しく遥香の前でニコニコしていた。 「遊部君、レディに失礼のないようにしましょう」  園児でも、女性であるのか。
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