バラ色の日々へ

9/33
1485人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
熱のせいか、この一年間抱きしめられた中でも断トツにあったかい体温だった。 耳にかかる息も熱い。 私まで、この熱にうかれてしまいそう。 「気持ちいーな。留美は」 身体中の力が抜けていくのか、彼の体重が私に乗っかかる。 それを支えるのはちょっと辛かったけど、安心してくれているのかと思えば、いくらでも我慢が出来そうな気がした。 それでも、やっぱり病人さんはちゃんと布団で休まなくちゃいけないと、冷静に自分の言い聞かす。 「ちゃんと寝よ?私も隣で寝るから」 「……襲っちまいそうだな」 「えっ?それでもいいけど!」 「アホ、冗談だ。そんな元気があるか。寝るぞ」 言い出したのは吉沢さんなのに、どうして私がお預けをくらわされるんだろう。 腑に落ちないけれど、二人して久しぶりに同じベッドに横になった。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!