第1章 托鉢

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負担であった。今からわたしは祥子の友達 でも同級生でもない、と言った美奈子の 厳しい口調がよみがえる。美奈子が何故 耀達の代理人になったのかは解りかねるが、 喜んでなった訳ではあるまい。結果として 彼女の恋人を寝取ってしまったのだから。 態度には出さないが、美奈子は自分を恨んで いるかもしれない。憎んでいるかもしれない その負のエネルギーが子どもに影響しない とも限らない。美奈子の思いが強ければ強い ほど自分も子どももどこかへ追いやられる ような気持ちになる。 いっそのこと罵倒されたほうが気が楽だった。 あの厳しく冷たい口調と入念な準備の矛盾が
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