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美奈子は連雀寺そばの隠れ家で一人坐って
いた。一本だけつけた和蝋燭の炎がゆらゆら
揺れる。
何度坐っても何度消災呪を唱えてもざわめく
心が落ち着かない。
何故祥子の子の父親が耀達なんだろう。何故
耀達の子を祥子が産むんだろう。美奈子の
心はその一点で揺れている。耀達が心変わり
したならともかく、成り行きの一夜の
アバンチュールだ。
祥子が子どもを望むのは彼女の自由だ。
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