第2章 堂々巡り

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美奈子は連雀寺そばの隠れ家で一人坐って いた。一本だけつけた和蝋燭の炎がゆらゆら 揺れる。 何度坐っても何度消災呪を唱えてもざわめく 心が落ち着かない。 何故祥子の子の父親が耀達なんだろう。何故 耀達の子を祥子が産むんだろう。美奈子の 心はその一点で揺れている。耀達が心変わり したならともかく、成り行きの一夜の アバンチュールだ。 祥子が子どもを望むのは彼女の自由だ。
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