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「ふわぁ……」
暦の上では春とはいえ、まだ肌寒い四月の朝
今年で高二になる私、篠崎未来(シノサキ ミク)は朝日に照らされる通学路を歩いていた
自転車通学の男子生徒が自分を追い越していく。スマホを取り出して時間を見るが、まだ遅刻するような時間ではない
「──てくんなよ鬱陶しい!www」
スマホを鞄に入れた所で、後ろからそんな声が聞こえた
話し相手の声が聞こえないのは、電話でもしているからだろうか。片方だけの話し声は後ろから近づいてくる
「っ!……と」
「おっと、スマン」
会話に夢中だったのか声の主がぶつかってきた。前にふらつきつつも体勢を立て直し、未来は相手の方に向く
最初に目に入ったのは、魅入られそうなほど綺麗な真紅の瞳。そして、男子にしては長い黒髪に一房だけ混じった紫色の髪
(……コスプレか何か……?)
未来は一瞬考えた。だが、着ているのは同じ高校の制服だ。コスプレは無いだろう
(……なら、これが素?)
だとしたら、あまり関わりたくないタイプなのだが……
「スマンなちょっと話に集中してた──うおっ超絶美少女」
…………なんだこいつ
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