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「そんな事できるわけがないよ……」
僕は、幽霊に聞こえないように、悲観的な文句をボソッと呟いた。それと同時に、溜息をつく。ちらり、と幽霊の方を見てみるが、先程漏らした独り言という名の文句はどうやら聞こえていないようで、僕は安心した。
しかし、本当にどうしたらいいのだろうと僕は窮地に陥る。取り敢えずこの幽霊をどうにかしなければ、僕は確実に別世界へ誘われ、何者かに殺害されてしまうことが確定してしまう。
例え僕が何者かに殺害される運命だったとしても、それだけは絶対に避けたい。まだ、僕は死にたくない。クズのまま死ぬなんて嫌だ。僕はまだ、殺されるべきじゃない。死ぬべきじゃない。まだ、やるべき事が山ほどある。
でも……頭の固い僕には、これと言った解決策は無かった。どうしよう。冷静になれと僕は僕自身に暗示をかける。
そういえば、僕は何の為に見ず知らずのこの幽霊に殺されなければならないのだろうか。純粋な疑問が、脳裏をよぎった。
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