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でも、僕はもう一つの理由は聞かない事にした。
いずれ分かるだろうと思ったからだ。それに、もう一つの理由が僕の精神が持たないような残酷な理由だったら?きっと悲惨な真実を聞いたとき、おそらく僕の肉体と精神は耐えられないだろう。
そう考えると、聞かない方が身のためだと思ったのだ。
「まぁ、俺がサイコパスだってことは嘘だけどな」
幽霊は、騙してやったぜ、とでも言いたげに、いたずらっ子のような笑みを浮かべた。
「嘘かよ!?」
アレが嘘だとしたら少し笑えない冗談だが、それでもそのいたずらっ子のような笑みに、先ほどまであった緊張感と恐怖が薄れた。
「それじゃあ、君を殺人鬼だらけの世界へと連れていく。ちなみに俺はその世界には存在しないから。覚悟してね」
「……うん」
この時、不思議と恐怖を感じなかったのは何故だろうか。僕は、幽霊に言われた通りに覚悟を決めて、現実を受け入れる事にした。それが例えどんな結果になったとしても……。
僕は目を瞑り、突如現れた閃光に身を委ねた……。
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