始まりの悲劇

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人影は、ひたすら手を動かしている。何かを持ち上げ……いや、運んでいる……?何をしているのか、ここからだと遠くて見えない。僕は木の陰に身を隠しつつ、目を凝らして人影を観察する。 と、その時。 クルッ! 人影が僕の方を振り向いたのに気付き、僕は肩を震わせるが、人影は直ぐに僕に背を向け、ほっと安堵感で胸を撫で下ろした時、僕はあることに気付いた。 どこかで見たことのある、白いTシャツにジーパンという、シンプルな服装。女子並みに整った、さらさらと艶やかな黒髪。 人影の後ろ姿に、妙に親近感を覚える。誰だっけと思いつつ、僕は思考を巡らせた。 あっ。 数分後、僕はこの人影の正体が誰なのかを理解した。本人に直接聞いたわけではないが、もし、この答えが間違っていたとしたら、僕は恥さらしだ。 この人影の正体。それは、僕の大切な「親友」だった。
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