始まりの悲劇

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「ふはは……」 突如、不気味な笑い声が聞こえた。暗闇がより一層、恐怖を増幅させる。その笑い声が親友のものだと分かるまで、数秒の時間を要した。僕は言いようの無い恐怖に襲われる。 近づいては行けないと、本能が語りかけてくる。そのことは百も承知だ。この声を聞いて怖くないと思う者はごく少数派だろう。だが、一度恐怖を感じてしまえば逃げることは不可能。それが人間の心理というものだ。 僕がガタガタと肩や足や手を恐怖で震わせている時、親友がいる方向から、奇妙な音が聞こえた。
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