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すると親友は、やけに綺麗に整っている端正な唇を開いた。
「へぇ……凄いな優は。いくら親友とはいえ、殺人を犯した人の前に立てるなんてな……」
親友は、僕の行動に感心したような声を漏らし、ニヤリと不気味な笑みを浮かべる。
僕だって怖くないわけじゃあない。本当はとても怖い。何せ、殺人を犯した悪者が目の前にいるのだから。でも、僕にはどうしても伝えたい事があった。
「なんで……人を殺した。お前そんな事するような奴じゃなかっただろ……」
なんとか声を絞り出すが、あまりの恐怖に、体だけではなく声まで震えてしまった。親友は僕の怯えようを見て、けたけたと笑った。
ゾクッ
全身に寒気が走った。今は夜とはいえ夏なのに、氷の中に閉じ込められているような感覚だ。おまけに、親友の瞳は、真冬の氷のように、冷たく寒い。
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