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亘は優一朗を一人にすることが出来ずに、その日は優一朗の部屋に泊まった。彰のベッドに寝るわけもいかず、絨毯の上に転がり、食事もとらない優一朗の様子を窺いながら一夜を過ごした。
明け方スマホでどこかへ電話していた優一朗の絞り出すような声で亘は目を醒ました。
「どうして――」
優一朗の青醒めた顔で、何かがあったのだと気付いた。
「転校するって・・・・・・どうして――」
彰は、一度も帰って来なかった。病院も直ぐに場所が変わり、スマホは解約されていた。家まで押し掛けた優一朗と亘に「もう彰のことは忘れて上げてください。彰はきっと思い出したくないでしょうから」と父親に言われてそれ以上そこにとどまることは出来なかった。
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