I don't need the world without you

3/14
前へ
/43ページ
次へ
一度見たら忘れない…あの綺麗な人はカイが付き合っていたエミさん… 遠い日の記憶が蘇ってくる。 胸がぎゅっと苦しくなる…切ない思い出だ。 カイの事が本当に好きで、一生懸命支えてきた人なんだと思うと、今でもまだ胸が締め付けられる。 きっとカイの歌を聴きに来たんだ…エミさんは今でもカイを… 「リカ?食べないの?」 「え?食べるよっ!」 「ちょっとちょうだい!」 私達の話し声に振り返るエミさん。 やっぱり…綺麗な人だ。 エミさんは私に気づくと会釈した。 私もすぐに会釈した。 優しい笑顔を返して奥の席に行ってしまった。 大人で、とても綺麗で…私なんかとても敵わない。 でも、カイは私を選んでくれた。 それだけで私は幸せなのだ。 二人の過去にヤキモチを妬いても仕方ない。 ふぅとため息をつくと二人の視線を集める。 「ん?」 「リカってさ~、波乱万丈な人生だよね。」 「うん…そうだね。でもこれからは幸せに一直線でしょ?いいなぁ!」 郁子と渚が私のドリアにスプーンを伸ばす。 「今年もあと5時間ちょっとかぁ…」 「なんかいろいろあったよね。」 本当にいろいろあった。 失くしていた記憶を取り戻して、竹内に監禁されて、父と再会して、失って…そしてカイに再会して…やっと今日にたどり着いた。 もうこれ以上無いくらい、いろいろあり過ぎた。 「二人がいてくれたから、いろいろあったけど乗り越えて来られたんだと思う。」 「なに急に…」 「今年最後の〆の挨拶?まだ早いけどね、うふふ…」 「うん、今年一年ありがとうございました!来年もよろしくねっ!」 笑顔を向けると二人も最高の笑顔をくれた。 「来年も再来年もずーっと仲良しでいようね!」 「うんっ!」 私も二人に何かがあったら力になれる人にならなきゃダメだ!と強く思った。 ずっと、三人で仲良くいられますように…来年も再来年も、ずっとずっと…
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加