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一度見たら忘れない…あの綺麗な人はカイが付き合っていたエミさん…
遠い日の記憶が蘇ってくる。
胸がぎゅっと苦しくなる…切ない思い出だ。
カイの事が本当に好きで、一生懸命支えてきた人なんだと思うと、今でもまだ胸が締め付けられる。
きっとカイの歌を聴きに来たんだ…エミさんは今でもカイを…
「リカ?食べないの?」
「え?食べるよっ!」
「ちょっとちょうだい!」
私達の話し声に振り返るエミさん。
やっぱり…綺麗な人だ。
エミさんは私に気づくと会釈した。
私もすぐに会釈した。
優しい笑顔を返して奥の席に行ってしまった。
大人で、とても綺麗で…私なんかとても敵わない。
でも、カイは私を選んでくれた。
それだけで私は幸せなのだ。
二人の過去にヤキモチを妬いても仕方ない。
ふぅとため息をつくと二人の視線を集める。
「ん?」
「リカってさ~、波乱万丈な人生だよね。」
「うん…そうだね。でもこれからは幸せに一直線でしょ?いいなぁ!」
郁子と渚が私のドリアにスプーンを伸ばす。
「今年もあと5時間ちょっとかぁ…」
「なんかいろいろあったよね。」
本当にいろいろあった。
失くしていた記憶を取り戻して、竹内に監禁されて、父と再会して、失って…そしてカイに再会して…やっと今日にたどり着いた。
もうこれ以上無いくらい、いろいろあり過ぎた。
「二人がいてくれたから、いろいろあったけど乗り越えて来られたんだと思う。」
「なに急に…」
「今年最後の〆の挨拶?まだ早いけどね、うふふ…」
「うん、今年一年ありがとうございました!来年もよろしくねっ!」
笑顔を向けると二人も最高の笑顔をくれた。
「来年も再来年もずーっと仲良しでいようね!」
「うんっ!」
私も二人に何かがあったら力になれる人にならなきゃダメだ!と強く思った。
ずっと、三人で仲良くいられますように…来年も再来年も、ずっとずっと…
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