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月の明かりが床を照らしているそれは、窓枠をくっきりと浮かび上がらせるほどの光で今日はきっと満月なんだろう。
天蓋から下がるレースカーテンに触れる、ふわりと柔らかで引っかかりがなくなめらかなカーテンは簡単に開いて窓を見上げることができた
「やっぱり、満月」
ベッドから降りるとすかさず肩に暖かなブランケットがかかる、ふとそちらへ目を向けると1人の男が控えていて目元を黒い布で巻いている、いつも見えないのによく動けるなと思うくらいだ
「こんな夜は迷い込んでくるお客様も多くなります。」
微笑みを絶やさない男の言葉が終わると見計らった様に店の扉についたベルが鳴り響き、おやおやと身を離す。
「今夜は早めにお眠りなさい。」
扉の向こうへ消えると再び一人きりになってしまった、あの男は僕を拾ってくれた良い人、けれどきっと…あの人はそれを否定するんだろうな
フワフワのベッドへ体を戻すと意外にも簡単に夢の中へ落ちていった。
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