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イズミと麻衣子の出会いは水の都やろな。
麻衣子が尸使いのお婆さんにお世話になっていた頃、イズミが水の都にある墓に異世界人が現れたと聞いて、興味津々で会いに行ったんやろな。
尸使いのお婆さんは何人も弟子を取るっていうし。
非常識さハンパない麻衣子の自由奔放さに、呆れながらも釘を刺したんやろう。
【もしも尸使いの道から外れたら宵闇の彼方が廊となり縛られるだろう。】
お婆さんの死後、麻衣子は忠告を無視して死者を使役し悪用した。尸使いの力を私欲に使いまくり、とうとう宵闇の彼方に飛ばされたんやな?
正真正銘のドアホやわ。
内心ヤレヤレため息を落とした私を見て、わざと気の障る言葉を口にする麻衣子。
「イズミは一途ね?パートナーがいる颯真に隙はなかったの。バカよね?風龍のためにイズミに堕ちるなんて。男って単純よね?」
「何言うとんねん、このアホッ!」
バッチーンッ!!
全力でビンタしたったわ。
唖然とする麻衣子に、
「いつまで子どものつもりなん?もう私ら大人やで。早よギルドでカード作って地道に努力してみ?アバターチェンジできるかもしれへんで?」
投げ捨てるよう言う私を、至近距離はダメだとシエロが抱き寄せながら囁いた。
頬を抑える麻衣子を冷酷な目で見据えていたらしい。
「シエロ。行こか?水の都にある墓に颯真はおるんやろ?」
【風龍からも連絡が来た。……転移。】
私たちは宵闇の彼方から颯真の元へ翔んだ。
2人を見送った麻衣子はボソッと言った。
「有羽ちゃんこそアホやわ。ギルドカード作ってもダメだったからココにいるのに。
バロンどうする?バベルの元へ行くの?」
「にゃん。」
白いネコは今はその時じゃないと、泣き声で示したけど、麻衣子にはわからなかった。
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