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イズミが激おこプンプン丸やん。話を聞いてくれへんのんとちゃうか?
つい額の赤いビンディに目が行ってまう。
さっき対面した麻衣子の赤いワンピースを思い出した。ひょっとしたら、赤いものを身に付けなアカンの?
【紅鏡。あのビンディを取り出せる?】
【否。】
【別の色にしちゃおか?】
べべ紅?紅ちゃんてばシカト?スルー?
【いろはにほへとちるぬるをわかよたれそつねならむうゐのおくやまけふこえてあさきゆめみしゑいもせす。】
呪文ちゃうで?いろは歌がイチバンやと思て。
「イズミ。私も同じやで?シエロのパートナーやけど、人より長いだけで死は訪れる。龍のパートナーでさえ不老不死やない。」
紅鏡をぐるぐる回す。如意棒を巧みに動かす悟空の気分やわ。
「イズミは有名になりたかったんでも、強くなりたかったんでもナイやん。
颯真に振り向いて欲しかっただけやろ?
パートナー持ちの人を好きになって叶わない願いを胸に秘めてたんやな?ホンマつらかったよな。
母が言うてたわ。越えられるから与えられる試練で決して不幸ではないんやて。
イズミみたいにかわいらしいコには、颯真みたいな遊び人合わへんわ。もっと優しくて、もっと気遣いできて、もっと一途で、もっと誠実な人が現れるわ。」
無表情で私を睨むイズミの瞳に涙を浮かべてた。
「ダメ。颯真がいい。」
「アホやなイズミ。周りをよく見てみ?皆に愛されてるやん。従姉妹やけど実際は姉の睡蓮。カイル姉弟、グレンやトーリ。そして獣人族の皆もウサギ耳のイズミがかわいくて仕方ないんやって。
っはは。麻衣子とエラい違いやんか?」
紅鏡の先に虹色の羽根を差して構えた。
【色は匂へど散りぬるを、我が世誰ぞ常ならむ、有為の奥山今日越えて、浅き夢見じ酔ひもせず。】
虹色の輝きがイズミを包み込んだ。
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