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フェイドアウトするよう光が消えてゆく。
イズミを見たら、額にあるビンディが変化してた。額用のベルトのまん中に、ルビーの宝石輝く装飾品となっててん。
久しぶりの笑顔は、素に戻ったイズミで、ほんわかした空気になったわ。
「有羽子ありがとう。でも私、颯真がいなきゃダメなの。」
「そんなんムリやで。なぁ和泉。この気配わかる?」
「うわぁ~、睡蓮?」
「睡蓮だけちゃうで。この複数の気配は。」
「自ら撒いた種だし自業自得、ね。」
「まぁな?きっと周囲は尸使いとして制御不能になったってコトにしよるわ。」
「よくわかるわね?」
「和泉のデータが改ざんされててん。ギルドには表向きのデータしかあらへん。だからこそ確信したけどな?」
「ふふっ。私の完敗だわ。」
「颯真と一颯に謝りや?」
「ココから出たら密月らしいわ。もう居ないんじゃない?」
振り返ると、しかめっ面のシエロしかいなかった。
やがて、
「イズミッ!」
皆が口々に名前を呼びながら抱きついた。
「和泉。」
パチン。
睡蓮が弱ぁい平手打ちをした。あんなヨワヨワパンチないわ。甘やかすのがイズミのためにならへんって気付かへんの?
涙を流しながら、イズミをギュッとしてる睡蓮に近付いていく。
「睡蓮どきや?」
首を傾げながらも離れたスキに、
バッチーン!!
麻衣子と同じ威力のビンタをかましたった。
ドサッ!!
勢いに圧されて、地面に倒れた。
「い、いったぁ~。ユウコ手加減してよぉ。」
腕を優しく引きながら、
「イズミが甘やかされてるのが教育上悪影響なんかと思て。周りが気ぃ遣いすぎやわ。」
「ふふっ。いい度胸してるわ。私を殴るなんて。」
「何アホなこと言うてんの?蚊が止まってたくらいの力やん。」
「蚊ぁ?蜂以上の殺生力よマジで。」
私たちはお互い顔を見合わせて笑いこけた。
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