stage⑦

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シエロに促されて、再び宵闇の彼方に来たんやけど、ドアが開かへん。 麻衣子どうしたんやろ? 「バロン。ドアを開けてくれ。」 ハリのある声でバベルが乞うように言った。 ギィイイ…… 高層ビルの出入口のドアが軋むなんて有り得へんし。どんな構造しとるんや? スキマ30センチから、チラッ。 「にゃ。」 バロンが顔を出した。 「このドア開けろよバロン。早く出てこい。」 かわいらしい白猫の態度やのに、バベルには全く効いてへんわ。 「じゃ、俺たちは帰るから。バイバイ。」 私の腕を掴んで、背中を向けた。 【いや。帰らないでバベル。】 「ムリ。俺をここへ閉じ込めて脱出するつもりだろう?浅はかなんだよアンタ。」 「閉じ込める?」 思わず呟いた私を見て、バベルが笑いかけた。 「ああ。宵闇の彼方に来れるのは闇属性持ちだけだ。こいつはバロンの姿をしてるが番人だ。」 ええっ?番人て? 「ユウコは建物の中で会ったんだろ?天龍もユウコの命に別状なけりゃ止めないし、麻衣子に会いに来たユウコは無害さ。俺に話があるんだろバロン。正体を現せよ?」 シーン。 沈黙が重苦しい。 見た目は白猫やのに、じわじわ感じるオーラは不気味やわ。 【バベル。忘れてしまったの?】 「その声で思い出したさ。この世界の境界線を守護する者。俺の忠誠心を煽って留まることを赦した者。白猫をどうした?」 ククク… ……ククク。 白猫は重低音さながらの暗い声で笑い始めた。 【バベルを慕うバロンを忘却させたのはナゼか解るか?】 んん?話し方がガラリ変わった。 「俺が弱いからだ。結果的に俺がバロンを殺めたのと同じだからだ。そうだろ?」 強がってるけど震えてる。 ……心も瞳も。弱気なバベルの左手をギュッと握った。
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