168人が本棚に入れています
本棚に追加
結局、白猫バロンの一途な想いに共鳴した元番人のカナタが発端やった。バベルの直感は正しかったわ。
白猫バロンが世界を変えたんや。
バベルが獣人族になったんも、
麻衣子が新しい番人になったんも、
元番人のカナタが恋に落ちたんも、
聖羅が呪縛から解き放たれたんも、
イズミが尸使いに弟子入りしたんも、
白猫バロンの意志ではないかもしれへん。
手動のオルゴールがメロディーを奏でるためにネジを回して動かすように。
湖の水面に雫が落ちて、その小さな波紋が湖全体へと広がってゆくように。
白猫バロン。
今頃天国でくしゃみしとるかな?それともゼウスの膝に乗って毛繕いしてるかもしれへん。
有り得るやろ?
白猫バロンにしか、私がこの世界を訪れる過程を知らんはずや。
功労者をみすみす見逃す、天界やないはず。
……せやろ?
「にゃん。」
微かに聴こえた鳴き声は、決して空耳ちゃうと思うわ。
「ククククク……待ってるよ?」
あの忍び笑いはゼウスやん。天使らしい笑い方が出来へんのかな?あどけなさや清らかさが、ひと欠片も感じられへん。
天界てどんなトコやろ?
残念天使こと傍観者ゼウス。いつかシエロと天界へ遊びに行くからな?
そのためにレベルもスキルも上げて、シエロを支えられたらええなぁ。
「報告は終わったし、家へ帰らせて貰う。」
突然、私をお姫様抱っこして空中へ舞い上がった。
ジロリ国王を睨んで、
「暫く邪魔をするな。いいな?」
凄んだシエロに誰も何も言えない。
【ユウコ。天界へ行かせたいが、地上に100年は帰れなくなるから、当分先な?】
甘いキスを髪にしながら囁くシエロの胸に、顔を埋めた。
最初のコメントを投稿しよう!